親・兄弟などの親族間で不動産売買する場合、一般の取引とは異なる注意点があります。たとえ不動産を売る相手が身内であっても、適正価格や税金の仕組みについてしっかり把握することが大切。
今回は、親・兄弟間における不動産売買の注意ポイントをご紹介します。
みなし贈与に注意
不動産を売る相手が親族である場合、まず注意しておきたいのが「みなし贈与」についてです。
みなし贈与とは、贈与の意図がないにもかかわらず、実態で贈与とみなされる財産の明け渡しを言います。みなし贈与とみなされれば、贈与税の対象となり、高い納税負担が発生します。
例えば、相手が身内だからと相場とはかけ離れた格安の値段で不動産を売却して、贈与でなくても実質的には贈与と変わらないと判断されるケース。
不動産の時価と売却額の差額が贈与の対象とされれば、贈与税を支払う義務が生じます。
みなし贈与について知らないまま譲渡を行い、税のなかでもとりわけ高い税率で知られる税金を課されたら、本人も納得いかないでしょう。
そうならないためには、親族同士であっても取引金額についてしっかり話し合い、なるべく適正価格に近いかたちで取引をすませたほうが無難です。
本人同士の合意があれば、契約書がなくても契約締結可能?
不動産売買は、契約書の締結をもって完了するのが一般的です。
しかし、当事者間の売買合意があれば、本来、それだけで契約は有効です。
登記の手続きも、必要書類がそろえば可能。
契約書なしで締結を実行すれば、手続きはよりスムーズに運ぶかもしれません。
とは言え、不動産は大きな取引だけに、後々のトラブルとならないために、親族同士であっても契約書はあったほうがベター。
しかも、ローンを組んで購入する場合は、金融機関に契約書を提出しなければなりません。また、買い手側が住宅ローンの控除を受けたり、将来的にその不動産を売却して譲渡所得を申告したりする場合は、売買契約書が必要となります。
たとえ相手が親兄弟でも、双方の合意があっても、契約書は作成するようにしましょう。
親族間の売買は、住宅ローンの審査に不利?
不動産売買の契約締結後、買い主側が代金を支払うことになります。
その際、手持ちの資金で購入できればよいのですが、ローンを組む予定の場合は注意が必要です。
なぜなら、住宅ローンの審査は親族間売買というだけで、厳しくなる傾向にあるからです。親族間の売買取引でも、難なく住宅ローンの審査を通過するには、不動産仲介業者を間に通す方法がベストです。