国土交通省より2024年度における全国の地価が公示されました。
ニュースでは、日本で最も地価が高い場所や上昇率の高い場所が報じられていることを見たことがあるのではないでしょうか。
地価公示について解説いたします。自分が住んでいるエリアの地価動向を知ることは、不動産売買はもちろんのこと、税金への理解を深めることにもなります。
最後に、弊社:中部エースがホームグラウンドにしている長野市の状況についても分析します。長野市で不動産の購入や売却をお考えの人におススメです。
ぜひ最後までお読みください。
地価公示ってなに?
地価公示とは、国土交通省が地価公示法という法律に基づいて行う土地評価のことをいいます。全国で約26,000の地点における1月1日時点における土地の現在価値を不動産鑑定士が調査し、毎年3月下旬に公表されます。なお、このとき公示される土地の価格のことを「公示地価」といいます。
地価公示の必要性
そもそも、なぜ毎年26,000もの地点における土地の価格を調査する必要があるのでしょうか。なんだか税金の無駄遣いのような気もしますが、実はれっきとした必要性があります。
不動産市場の透明性を担保するため
理由の1つ目は、不動産相場や市場の動向が客観的にわかるようにするためです。
とりわけ、不動産業界のことを「怖い」とか「信用できない」という印象を持つ人は少なくありません。
不動産会社に売却を依頼したときに「なぜこの金額なのか」の説明がなかった経験はありませんか?まさにこれです。
このようなときに説明の基準となるのが地価公示です。ただし、公示地価が上昇しているからといって、必ずしも近隣の土地の売却価格も同じ割合で上昇する、というわけではありません。土地が持つ個別の事情によって売却可能価格は変動しますので、その点には注意しましょう。
不動産取引の目安とするため
2つ目の理由として公示された地価が果たす「目安」としての役割です。もちろん、市場での取引において「目安」は強制力を持つものではありません。しかし、公示地価がわかれば、市場での不動産取引は言うまでもなく、不動産鑑定業務や行政が民間の土地を取得するときの「目安」になるでしょう。
地価上昇率ベスト10はこのエリア
地価公示より「住宅地上昇率ランキングベスト10」を紹介します。
順位 | 標準地番号 | エリア | 価格(㎡/円) | 変動率(%) |
1 | 富良野-201 | 北海道富良野市 | 49,500 | 27.9 |
2 | 千歳-19 | 北海道千歳市 | 76,500 | 23.4 |
3 | 宮古島-6 | 沖縄県宮古島市 | 10,800 | 21.2 |
4 | 千歳-10 | 北海道千歳市 | 20,500 | 20.6 |
5 | 帯広-8 | 北海道帯広市 | 17,700 | 20.4 |
6 | 千歳-1 | 北海道千歳市 | 60,100 | 20.2 |
7 | 福岡博多-7 | 福岡県福岡市博多区 | 195,000 | 19.6 |
8 | 白馬-1 | 長野県北安曇郡白馬村 | 15,900 | 19.5 |
9 | 千歳-5 | 北海道千歳市 | 73,500 | 19.5 |
10 | 幕別-5 | 北海道中川郡幕別町 | 27,000 | 19.5 |
出典:国土交通省 「住宅地の変動率上位順位表(全国)」
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/content/001724344.pdf
これは、全国の調査地点(調査地点のことを「標準地」といいます)で、前年からの上昇率が高かったもののランキングです。言い換えれば、「地価が上昇しているエリアランキング」という感じです。これらの土地を所有している人たちにとっては、こんなに良いニュースはありませんね。
我らが長野県からもランクインしているこのランキング、実はいくつかの特徴を見出すことができます。ここからは、その特徴について解説します。
特徴1. 工場や企業が出店するエリア
工場や企業が出店するエリアでは、住宅地の地価が劇的に上昇することが考えられます。なぜなら、工場や企業が出店するとそこで働く従業員の住居を確保したり、生活に必要な店舗や施設を整備する必要性があるため、住宅地需要が高まるからです。
ランキング内でいえば、北海道千歳市が3地点でランクインしていることがわかります。これは国産半導体メーカーが工場を開業することが要因です。
また、ランキング外ですが20位と21位に北海道北広島市がランクインしています。これはプロ野球球団の本拠地移転によるものです。
特徴2. インバウンドによる観光事業の復興によるもの
アフターコロナにより国内外を問わず観光地が賑わいを見せていますが、観光やリゾート産業が賑わいを見せることで、近隣住宅地の地価が上昇することも想定されます。なぜなら、観光地やリゾート地が賑わいを見せることで、ホテル需要やコンドミニアム需要が高まるからです。
ランキングいえば、北海道富良野市・長野県北安曇郡白馬村などがそれにあたるでしょう。いずれも国内外からスキーを目当てに長期滞在する人が多いレジャースポットであり、地価の爆発的な上昇に寄与したものと考えられます。
同様に沖縄県宮古島市では、国内外からの観光客がコロナ前の水準を上回るまでに回復したため、地価が上昇しました。同市ではホテル建設ラッシュも始まっていますが、建築作業員が仮住まいする賃貸物件すら借りることができないほどの状況と言われています。
特徴3. 住宅需要の高まりによるもの
純粋に住宅需要が高まることによって地価の上昇が起こることもあります。住宅需要が高まる引き金になるものとして以下のようなものが考えられます。
・行政の子育て支援や新婚補助制度が拡充したとき
・都心部の需要が高まりすぎて地価が高止まりしたとき
北海道帯広市では、住宅需要の高まりがここ数年続いています。中心部のみならず郊外へも住宅需要は波及しており、地価上昇を下支えしているといえるでしょう。
ランキング外ですが、行政の手腕により人口が増加し地価が上昇した事例として注目を集めているのは「千葉県流山市」です。同市では、新しく就任した市長が子育て支援に注力した結果、ファミリー世帯が爆発的に増加。東京都心へのアクセスが良いことも追い風となり、市外からの移転者が増え続けるという結果に至りました。
長野市と近郊エリアにおける公示地価の状況
ここからは我らが長野市とその近郊エリアにおける公示地価の状況を解説します。
長野県では長らく地価の下落が続いていましたが、2023年に続いて2024年も公示地価は上昇に転じました。住宅地では昨年比0.4%、商業地では残念ながら変動なしという結果です。
長野市だけを見ると、住宅地では昨年比0.4%、商業地では昨年比0.7%の上昇となり、復調の兆しが如実に現れた結果となりました。上述した上昇ランキングと比較すると少しさみしい結果ではありますが、それでも地価が上昇したことは喜ばしいことです。
長野市で地価が上昇したエリア
ここでは、長野市で地価が上昇したエリアを紹介します。昨年と比較して地価が上昇したエリアのベスト10は以下のとおりです。
順位 | 順位番号 | エリア | 変動率(%) |
1 | 長野-48 | 長野市大字栗田字西番場 | 3.1% |
2 | 長野-30 | 長野市東犀南 | 2.3% |
3 | 長野-11 | 長野市大字稲葉字母袋沖 | 2.0% |
4 | 長野-35 | 長野市青木島町大塚字北島 | 2.0% |
5 | 長野-24 | 長野市川中島町上氷鉋字飯縄面 | 1.8% |
6 | 長野-45 | 長野市篠ノ井布施五明字上六反 | 1.7% |
7 | 長野-41 | 長野市青木島町大塚字大北 | 1.6% |
8 | 長野-12 | 長野市川中島町四ツ屋字中河原 | 1.5% |
9 | 長野-32 | 長野市篠ノ井布施高田字上居反 | 1.5% |
10 | 長野-17 | 長野市川中島町今井字豊田 | 1.5% |
出典:統計ステーションながの 「地価公示(令和6年)市町村別・用途別平均価格及び変動率一覧表」
https://tokei.pref.nagano.lg.jp/statistics/25226.html
お住まいのエリアや気になっているエリアはランクインしていたでしょうか。
ここからは、このランキングをもとに市場の動きを分析してみます。
長野市の地価公示からみる市場の動向
長野市の地価公示からみる市場動向の特徴の一つに「上昇率が高いエリアに偏りがみられる」ことが挙げられます。
長野市中心部が最も地価が高いことに異論はないでしょう。一般的に最も高いところから放射状に価格は低減していくものです。長野市も同様に中心部から離れると地価が下落しています。
しかし今回の上昇率だけを見ると、犀川南エリアが多くランクインしていることがわかります。青木島や川中島で公示地価の上昇率が高いことは、犀川南エリアで住宅需要が高まっている可能性が否定できません。
ただし、ランキングには掲載していませんが、長野市北部に位置する住宅街で地価が下落しているわけではありません。三才駅近くでは0.9%の上昇、若槻団地では0.8%の上昇も見られています。あくまでも可能性として捉えるのがよいでしょう。
長野市の不動産購入売却は中部エースにお任せください
今回は地価公示を参考に、長野市の不動産需要などを解説いたしました。
長野市は長らく地価が下落し続ける冬の時代を過ごしてきましたが、ここ2年間は復調傾向にあります。復調にはさまざまな要因が考えられますが、もともと長野県が誇る観光やリゾート産業の復調が大きいと考えています。
しかし、長野の魅力は観光だけではありません。長野県は電子部品生産量で日本第2位など経済産業にも地力があり、この復調がさらに大きな発展へ繋がることを期待しています。
長野市にお住まいの人はもちろん、長野市への移住を考えている人も、不動産売買のご相談は中部エースまでお気軽にご相談ください。